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「ゲーム脳の恐怖」3 ~用語の混同は何を示すか~ [ゲーム脳の恐怖]

 脳波の説明における図12では、「α波」や「β波」が脳波の波形パターンの表現として使われています。
 しかし、著者が使用している機器で取り出しているのは、波形に含まれる特定の周期成分、つまり、「α波と同じ波長の成分」と、「β波と同じ波長の成分」です。


【β波・β波成文・β%は同じものか?】

 本の図12で説明した「β波」と、機器で修得する「β波成分」は同じ物ではありません。
 前者は波の外観を見て、「速い波か遅い波か」判断する事、後者は波を分解して「速い波の成分と遅い波の成分がどのくらい含まれているか」判断する事、といった違いがあります。

 さらに、分析には、取り出した「α・β波成分」を積分したりなんとかしたりして、「α・β%」を求めています。これも当然「α・β波」や「α・β波成分」と同じ概念の物ではありません。

※ 念のため述べておきますか、「α・β波成分」の抽出や、積分値を求めるというやり方は、脳波研究に外れたやり方、というわけではありません。おそらくは何らかの先行研究の手法を参照しているものではないかと思われます。ここで問題とするのは、あくまで『用語の混同』の話です。

 一方、「β波」については、まがりなりにも説明が加えられていますが、「α・β波成分」や「α・β%」については、その求め方について「専門的な」用語の羅列をして示すに過ぎず、説明した「β波」との関連性は何も示されていません。

 これでは、本書の内容において「β波の説明」すら無意味であった事を示すと同時に、読者に対しては、「β波成分」や「β%」を「β波」と混同してしまう、という致命的なリスクが生じます。
 さらに、著者自身も、「β%」の値について、「β%」と言ってたかと思うと、それを「β波」と呼んだりして、表現が揺らぎまくり、そのようなリスクに拍車をかけています。

 おそらくは、著者自身が「β波」・「β波成分」・「β%」を区別して説明できるほどの理解できていないか、自分が独自に設定した「β波成分」・「β%」というパラメータを一般的な「β波」を指すと錯覚させるためにあえてそうしているか、あるいはその両者かなのでしょう。


 著者は「α波とβ波が重なると」、「α波とβ波が離れていると」なんて表現をします。
 これに関しては「おいおい、α波とβ波が別々の波で放出されるなんて事があるのかい?」と突っ込まざるを得ません
1つのセンサーから得られる脳波はあくまで一本の波です、その中でα波という波形と、β波という波形が重なったり離れたりする状況が想像できますか?。

 実際には(α波・β波とは別物の)「α%」・「β%」というパラメータの値が一致するか否か、という話なんでしょう。
 でも、基礎知識の無い人には誤解を与え、それがある人には酷くトンチンカンな事を言っているように聞こえるこの表現は、「分かりやすくするため」という言い訳が通用しない『言い間違い』です。
 このような、脳波の専門家であれば、絶対使わないであろう表現の使用からも、著者の脳波に関する理解不足が見て取れます。


【β/αって何?】

 「β波」も上手く説明できない。
 「β波」と「β波成分」と「β%」の違いも説明できず、むしろ自らも混同して使う。
 そんな人に「α・β%」パラメータを使った「β/α」というパラメータの意味を説明してもらう、なんていうのは望めない、としか言えません。

 そもそも著者の主張は「β波が脳の活動の指標になる」というものであったはずですが、であればβ波自体を評価基準にすればいいはずです。
 しかしそこにあえてα波という要素を混入する事と、主張とのつながりが全く分りません。
 例えば、β/αが下がった場合、どのような現象が生じていると言えるでしょう?
・β%が減退し、α%が増加する
・β%が減退し、α%が不変
・β%が減退し、α%もやや減退する
・β%が不変で、α%が増加する
・β%が増加し、α%がより増加する
つまり、β/αという値だけではβ%が上がっているのか下がっているのか分からないのです。

 仮に、α波が比較的安定しており、β波が比較的変動が大きいのであれば、データ同士を比較するための“標準化処理”にはなるかもしれません。しかし、仮にβ%やα%が、α波・β波と密接に関連するパラメータであるとすれば、この両者は同時に変動するものと言えますので不適切と言えます。

 おそらく、これらの値に何らかの意味や理論背景があるわけではなく、また、当人すらその値が何を意味するのか理解していないのではないでしょうか。
 この値を使用する意味というのは、単に「著者の説の裏付けに使うのに都合が良い」という事だけではないかと考えられます。


【このパラメータの正体は?】

 この人は痴呆症を研究対象としたとき、「痴呆症は脳波で区別できるのでは」というあいまいな仮説しか持っておらず、とりあえずは脳波を測るだけ測ってみたけれど、脳波の生波形を見ても差といえるものは見つけられなかったのでしょう。

 しかし、「脳波の“何か”に差がある」という仮説は捨てきれず、何か無いものかと生波形から取り出せるパラメータを取り出すだけ取り出して、徹底的にいじった結果、α%・β%・β/α値が「脳波で区別できる」仮説を支持する最も都合のいいパラメータであったのではないでしょうか。

 つまり、意味がある分析により導かれた結果ではなく、データから意味を見出そうとして、処理の意味を考慮せず散々いじった結果導かれたのが「α%・β%・β/α」であったと予測されます。

 もしそうであれば、β/α値についての満足いく説明は、「したくてもできない」でしょうね。
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